アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない
四半世紀前に唱えられた当初は否定的な意見が多かったこの理論も、今では常識化され、インデックスファンドの比率がどんどん高まっています 。
実際に金融庁が公表している「資産運用業高度化プログレスレポート2021」でもアクティブファンドのパフォーマンス低迷が指摘され改善が検討されています。

しかし、なぜアクティブファンドはインデックスファンドに勝てないのでしょうか ?
より儲けようとするアクティブファンドと平均を取ろうとするインデックスファンド、ふつうに考えたらアクティブファンドのパフォーマンスのほうが良さそうです。
今回は、アクティブファンドが勝てない理由について解説して行きます 。
- なぜアクティブは勝てないのはが分かります。
- 市場が効率的とはどういうことか理解できます。
- 自分のほうが上手く運用できると大事故を起こすことを未然に防げます。
アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない理由
結論からいいます。
それは、アクティブファンドのマネージャーが優秀すぎるから、です。

言ってることが矛盾してない?
いえいえ、それでは説明を聞いてください。
アクティブファンドのマネージャーは超優秀
まず、アクティブファンドがインデックスファンドに勝てないということからアクティブファンドのマネージャーは無能だとか所詮サラリーマンだからとか思っているのであれば大きな誤解です。
彼らは頭脳明晰で、投資という仕事の性質上、いろいろなところにアンテナを張り巡らせているバランス感覚のいい人が多いです。
また、趣味の延長として仕事をしている人も多く、24時間相場のことを考えていたりします。
ここまで仕事(彼らにとっては趣味みたいなもの)に打ち込んでいる人は、どの業界にいってもほとんどいないと思います。
ファンドマネージャーが無能ということは全くありません。
むしろ、彼らの地頭の良さにここまでの熱意が加われば、どんな仕事をしていてもエース級の人材になっていたような人ばかりです。
私もファンドマネージャーに憧れて、資産運用の業界に入り 、幸運にもファンドマネージャーとして働いてきましたが、 周りの同僚を見て、自分の無力さを痛感する日々を送ったときもありました。
優秀なファンドマネージャーが市場を効率化させる
では、なぜその超優秀なファンドマネージャーが運用するアクティブファンドがインデックスファンドに勝てないのか。
それは、マネージャーが優秀なせいで市場が効率化するからです。
効率化した市場では儲けのチャンスがなくなっていきます。
自分で自分の首を絞めているような状態です。
非効率な市場では、ミスプライスがたくさん発生します。
楽天とアマゾン、ヤフオクで同じ商品が並んでいるような状況を想像してください。市場が非効率で、それぞれの価格が異なるのであれば、あなたはサイトを比較することでよりお買い得に買い物をすることができます。
しかし、ここに大量の転売ヤーがいるとすれば、安いサイトで買い、高いサイトで出品し、サヤを抜くことで、市場の原理で価格は均一になっていきます。
優秀な転売ヤーが多いほど、価格差はなくなっていきます。
そうなれば、あなたがいくらサイトを比較しても、他サイトよりお買い得な値段で買い物をすることはできません。どのサイトで買っても同じだからです。
転売の場合は、転売ヤーにとっては在庫リスクもあるし、郵送の手間や送料もかかるので、サイトを見比べることで若干のお買い得は見つけることができるかもしれません。
しかし、高度に発展した金融市場では、流動性の高さから数百億や数千億という単位でも、売れないということはありません(在庫リスクなし)し、取引料の超低コスト化(送料ほぼゼロ)が進んでいるため、より効率的な市場といえます。さらにクリック一つで取引が完了するという手軽さです。
どんなに優秀な転売ヤ―でも価格差がなければ儲けることはできません。
同様に、
アクティブファンドマネージャーやファンドの購入者に感謝をしよう
効率的金融市場では、アクティブファンドはインデックスファンドを出し抜くような成績をあげることはできません。
価格の歪みがないからです。
しかし、調査や分析を行うほど手間や時間がかかり、その労力は高い信託報酬というかたちで反映されます。
そして元のパフォーマンスに差はなくても、コストが高いぶんアクティブファンドはインデックスファンドに劣後してしまう、これがアクティブファンドがインデックスファンドになかなか勝てない理由です。
しかしもし、世の中のアクティブファンドがなくなり、インデックスファンドだけになってしまったら、市場は非効率的になってインデックスファンドに投資をしても勝てなくなってしまいます。市場が効率的なおかげで、多大な労力をかけるプロもインデックス投資でほったらかしにしている素人の個人投資家も同じようなパフォーマンスを上げることができているのです。
インデックスファンドの購入者は、アクティブファンドのマネージャーの熱意に敬意をしめし、費用を負担しているアクティブファンドの購入者に感謝をするべきです。
彼らの並みならぬ努力や巨額の資金によって効率化されている市場にタダ乗りさせてもらっているのですから。
それでもアクティブファンドに手を出したい場合はこちらの記事も参考にして下さい。


【補足】どうしても個別銘柄で勝負したいのなら、ニッチな市場を狙いましょう



それでも個別銘柄で勝負したい!
お気持ちは分かります。
私もそうでした。
投資は自分の全能力をかけて勝負する最高にエキサイティングなゲームです。
読みが当たって大きく儲けたときの高揚感は忘れることはできず、病みつきになると思います。
しかし、ゲームとして楽しむぶんには何をしても構わないですが、勝ちたいというのであれば、それなりの戦略を考える必要があります。
素人がプロでも勝てない効率化した市場で戦っても苦戦を強いられるだけです。
なので、個別銘柄で勝負がしたいのなら、ニッチな市場を狙いましょう!
プロは時間や費用をかけるぶん、大きな利益が必要なため、小さな市場はあまり好みません。そして、説明ができないような不透明な市場を嫌う傾向があります。
こういう市場なら素人でもワンチャン個別銘柄で勝ちを積み重ねていけると思います。むしろ、投資のプロより業界に精通している会社員のほうが勝ちやすいと言えるかもしれません。
結論
ファンドマネージャーと言っても所詮サラリーマン。自分のほうがよっぽど上手く運用できる。
こういう風に考えて大怪我をした人も少なくないと思います。
実際に運用してみると分かることですが、後になってこうすれば稼げたと批判できても、いざ運用してみると全く上手くいかないということがほとんどです。
安易にファンドマネージャーが無能と考えるのではなく、市場が効率化しているせいでファンドマネージャーですら勝つことができない。
これを受け入れた上で、自分はどういう投資をしていけば良いか判断することが重要です。
- アクティブファンドが勝てないのは市場が効率的過ぎるため。
- 市場が効率的とは情報が即座に正しく株価に反省されて、ミスプライスが発生しない状態。
- 市場は効率的だということを受け入れてインデックス運用をするか、個別株で勝負したいなら非効率なところが多少残るニッチな市場で戦う。
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